本の重み

先々週、もうすぐ90という女性が階段を上がって来られ「贈書」をしたいとお申し出くださいました。ただ、重くて持って来られないのだと。


そこで今朝、稲村ケ崎のお宅を訪ねました。


134号線からもわかるお宅の2階には、大きな書棚が見えます。その中から、若いころカルチャースクールで学んだ際に購入したという書籍をはじめ、鎌倉に関する本をたくさんご用意していてくださいました。


縁もゆかりもない、見ず知らずの人間に貴重な本を託してくださり本当にありがたく、それでいてなんのお礼もできない自分がもどかしいばかりです。


「またご縁があれば」


背中にそう声をかけていただき涙が出そうになって見上げた空は、久しぶりに清々しい青でした。

いただいた本以上の重さをしっかり肩に感じながら、僕は駅に向かったのです。