「カマゾウという空間なんだから、鎌倉ゆかりの本を読む会があってもいいですよね」
そんな雑談がきっかけで、僧侶の山口依乗さんに音頭をとっていただき2017年4月に始まった「あなたを入れて7人の会~鈴木大拙を読み解く」。
その50回の記念にと依乗さんが、若き鈴木大拙(当時は貞太郎)さんが「修行」した円覚寺さんの横田南嶺老師に願い出てくださり、5月11日に講義をいただくことになりました。
横田老師といえば、円覚寺派の管長さま。直接、お話をうかがえるなんて夢にも思っておらず、何だか地に足が着かないような状態のまま当日を迎えました。
普段は修行僧たちが講義を聞くという宗務本所の2階に招かれ、この日のためにわざわざ用意くださったテキストに沿って1時間と少し、お話をいただきました。
時おり窓から吹き込んで来る薫風のように、老師の言葉がスーッと気持ちよく心の中に入ってくるのです。普段だったらなかなか理解し難い、大拙さんの文章もふわりと着地する、そんな感じ。
時に畳み掛けるように強く厳しい語り口も。思わず背筋を伸ばすと、あれ?そんな言葉も優しく降ってくる、そんな感じ。
1時間はあっという間のようで、本当は半日、いや1日中聞いていたのではないかと思えるほどの不思議な時間でした。
老師、円覚寺の皆さん、本当にありがとうございました。
講義の前、僧侶の皆さんがあちこち押入れを開けて探しておられたのは黒板だったと、あとで知りました。ホワイトボードは見つかったようですが、老師のリクエストが「黒板」だったとのこと。
そこにハクボクで書かれた文字の何とわかりやすいこと。行書のようにサササーッとくずして書かれるかと思いきや、それこそ小学生にも読めるような大きく優しい文字が並びました。
文字でもスーッと心に降ってきた、そんな感じ。
さて、講義の最初に、鈴木大拙著「禅の思想」についてのお話がありました。今年3月に出版され、その解説を老師が書かれています。
「引き受けたものお。初めは難しくて全然分からなかった。読んでも読んでもよく分からない、はてどうしましょう」と。
悩んだ末、総長を務める花園大学で、この本をテキストに学生に教えようと思い立ったのだそうです。学生が飽きないように、分かりやすく教えるために自分も頑張ったのだと。つまり、学生さんと一緒に学んでいこうということです。
あっ! と気付きました。
一人で読み解こうと思っても、難しくてゼッタイ無理レベルの鈴木大拙さんの著書を、そういえば毎月1回、僕らもみんなで読んでいたじゃん!
カマゾウで、依乗さんがリードしてくださり、みんなで読んでいました。
そういえば、依乗さん、よくおっしゃいます。「こうして改めて皆さんで読んでみると、新たな気付きがあるものです」と。
そうか、そんな価値ある時間を、月1回カマゾウで体験していたのかと思うと、もう感動で、ガッツポーズしながら部屋の中を駆け回りたい、そして老師にエアハイタッチしたいほどの喜びでした。
「鈴木大拙を読み解く」会を開いてくださった依乗さん、賛同して集ってくださった皆さん、参加くださっている皆さん、本当にありがとうございます。
これからも会は続きますよ。
難しくて分からないけど、分からないなりに何かを感じながら(笑)ご一緒させていただき進んでいこうと思います。
(門前の小僧こと室長)